ボーンデジタル社出版の「UNITY デザイナーズ・バイブル」をご恵贈いただきましたのでレビューさせていただきます。
Unityには、CGを用いたあらゆるコンテンツ制作に役立つ機能が豊富に用意されています。
しかし、それらの機能を使いこなすにはいずれも専門的な知識が必要不可欠なため、初心者がUnityを学び始めてすぐに手を出すにはためらいがあるかもしれません。
本著では、Unityに搭載されている知っておくと便利な機能を多数紹介しています。
Unityの多彩な機能について学び、コンテンツ制作に必要な知識を身に着けることができると思います。
一言でいってしまうと、CGコンテンツ制作に関する幅広い知識を身に着けることができることが本著を読む一番のメリットだと感じました。
本のコンセプト
・「入門編」「中級編」を設けることで、これからUnityでのゲーム制作に関わっていきたい方、一度挑戦したが諦めてしまった方なども含む、幅広い読者にお読みいただけるものにしたい
・新しいレンダーパイプライン技術など、進化を続けるUnityの最新機能を解説することで、すでに業務で関わっている方のゲーム制作の効率化や新しいチャレンジの一助にしてもらいたい
・Unityだけでなく外部デザインツールとの連携など、多くのジャンルやテーマを収録することで、いますぐ必要な情報だけでなく、将来的にも知っておいて欲しい役立つ情報を網羅したい
本著はタイトルにもある通り、ゲーム制作における「グラフィック・デザイン」関連の機能にフォーカスした書籍です。
ゲーム制作のプログラミング・レベルデザイン等は対象外なので、その点を念頭に当記事を読んでいただけると幸いです。
「UNITY デザイナーズ・バイブル」の内容
本著の目次は以下の通りです。
- みんな大好き!「Unity」を使ってみよう!
- UnityでUI画面を作ってみよう!
- グラフィック描画の基礎「レンダーパイプライン」を理解しよう!
- 2Dボーンアニメーション
- Timemap:2Dマップを効率よく作成できる
- Timelineによるカットインアニメーションの作成
- TextMesh Pro:豊富なテキスト表現で魅力的な画面デザインを実現
- UTS2:イラスト・アニメ・VRなどで使える汎用トューンシェーダー
- ノードベースのシェーダーエディター:ShaderGraph
- Visual Effect Graphによるエフェクト制作
- Progressive Lightmapperとライトマップ for モバイル
- Animation Riggingで簡易的なアニメーション作成
- ProBuilderによるモデル制作とレベルデザインでの活用
- Post Processing Stack v2によるシーンの絵作り
- Cinemachineによる臨場感のあるシーン作成
- PhotoshopでのUI素材作成とUnityへの取り組み
- HoudiniとVFX Graphの連携
- Mayaとの連動とFBX Exporter
- BlenderからUnityへのモデルのエクスポート&インポート
- Live2D-タップで反応するアプリの作成
- Spine-ちびキャラを動かすアプリの作成
- 3Dキャラクターモデルを使ったVRMファイルの作成と活用
- Shotogunによるリソース管理
各テーマごとに約30ページの情報量です。
全テーマを一通り読み終えた感想は、CGコンテンツ(ゲームやアバター利用したサービス)をつくるための幅広い知識が得られた印象です。
グラフィック・デザインに関する情報がメインですが、それ以外にもアバターの動かし方や調整の仕方も解説してありUnityの機能を多く学べました。
ページ数からも想像できる通り、各テーマを扱うには少々ページ数が少ないため、よくもわるくもUnityの機能の紹介止まりになっています。
そのかわりに、ゲーム制作からアバターを動かす技術まで幅広い知識を網羅しているため、汎用性のある機能をサクッと知ることができます。
各テーマ約30ページですが、書籍としては約650ページと大ボリュームです(ティッシュ箱の高さぐらいの厚さ)。
※追記
個人的に読んでためになったのは、ノードベースのシェーダーエディター:ShaderGraphです。
シェーダーとか、ShaderGraphという単語はUnityについて調べているとよく目にするのですが、難しい印象だけありどんな機能なのかよくわからないままでした。この書籍ではShaderGraphを使って水面の表現を解説してあり、簡単に扱えそうだということがわかりました。
「UNITY デザイナーズ・バイブル」を読むメリット
本著を読むことで得られる具体的メリットを羅列してみました。
「UNITY デザイナーズバイブル」を読むメリット
・CGコンテンツ制作の幅広い知識が得られる
・コンテンツの質向上につながる
・初心者→中級者へのステップアップに役立つ
CGコンテンツ制作の幅広い知識が得られる
本著では、Unityを用いたCGコンテンツ制作に関するテーマを23こも扱っています。
ここでCGコンテンツ制作と説明しているのは、2D・3DゲームからバーチャルYouTuberまでCGを用いたあらゆるコンテンツ制作に関する知識を扱っているからです。
Unityはゲーム制作はもちろん、VR向けのアバターを動かすためにも利用されています。
そこらへんの知識も網羅的に学べることが本著を読む一番のメリットだと感じました。
また、Unityには便利な機能が多く搭載されている反面、1つ1つを調べるにはなかなか手間がかかります。例えば、「こんなモノを実装したい。Unityのどの機能を使えばいいのかな?」という疑問が初心者のころいつもあってその度にググりまくっていたのですが、この書籍を読んでいれば、調べるためのヒントがたくさん書いてあるのでもっと効率よく学習できたと思います。
コンテンツの質向上につながる
本著に載っている情報は、ゲームやアプリをつくる上で必須の知識というわけではありません。
私が感じた本著の内容の強みは知識の汎用性があることです。
「あっ、このツールはここで使えそうだな」という情報が多く載っているため、オリジナルのコンテンツを作る際に重宝できると感じました。
本著の制作に関わった著者の方々はプロの方なので現場のノウハウを学べることは書籍で学習する大きなメリットですしね。
初心者→中級者へのステップアップに役立つ
ここでは、Unityを初めて触る方から、RollingBall等のサンプルコースや書籍で解説された手順に従ってモノをつくった経験のある方を初心者。
コーディングやデザインの知識をネットで調べて、自力でモノをつくることができる方を中級者と定義させていただきます。
本著はデザインに関する知識を多く扱っているため、初心者から中級者へのステップアップに役立つと感じました。
私が実際に自力でゲームをつくっていたときに一番苦戦したのは、コーディングよりもグラフィックの部分でした。
具体的にはUI(ボタンやテキスト)の見た目、シーン遷移の見え方等です。
デザインを意識するだけで、コーディングが同じ内容でもコンテンツとしての質は段違いだと感じました。
そんな経験があったため、”脱Unity初心者するためにはコーディングだけでなくデザインのことも学んでおくと後々楽になる”、ということを伝えておきたいです。
「UNITY デザイナーズ・バイブル」はどんな人におすすめ?
Unityのことがもっと知りたい方
オリジナルのCGコンテンツをつくりたい方
ゲーム制作だけでなく他のCG制作にも興味のある方
ズバリ、Unityの機能について網羅的に学びたい方にはぜひともオススメしたいです。
ネット検索することが多い私の場合、本著を読んでいてなるほど!となることが多々ありました。
オリジナルコンテンツをつくりたい方、既につくり始めている方も読む価値ありです。
コンテンツのクオリティアップにつながる情報が多いので、読んで調べて実装すれば独力よりも簡単に完成度が高まります。
以上、「UNITY デザイナーズ・バイブル」のレビューでした。
学ぶことが多く私自身、本著を読めて良かったです。この場をお借りして著者の方々に感謝。
拙い文章ですが本著について知っていただく機会になれば幸いです。
Amazon商品ページより各テーマ(全23コ)の1ページがサンプルとして閲覧できますので、興味のある方は下記リンクからどうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございました。