株式会社ボーンデジタルさんが出版している、本のタイトルについてレビューさせていただきます。
購入をご検討されている方のために、参考となる情報を重点的に紹介します。
『CGキャラクター制作の秘訣』は、どんな本?
本書は、3DCGキャラクターの中でも、とりわけフォトリアルなキャラクターを作成するために必要な知識をまとめた専門書です。
3DCGのキャラクター制作系の書籍の多くは、フィギュアやトューン調のモデル制作が取り上げられています。
しかし、本書は、フォトリアルなモデルを題材としているため、他の書籍とは学べないノウハウを学ぶことができます。
フォトリアルなキャラクターをつくる上で私が苦労した、肌の質感の表現方法や、虹彩の作り方等、要所要所をしっかり説明があるので、フォトリアルなキャラクターを作りたい方にはぜひともおすすめしたい書籍です。
本書のオススメなポイント
本書のオススメポイントを3つピックアップして紹介していきます。
セミリアルなCGキャラクター制作の秘訣が学べる
あえて書籍のタイトルをそのまま引用させていただきます。
本書では、タイトル通り、CGキャラクター制作の秘訣を学ぶことができます。
気になる秘訣とは一体どんなことなのかというと、キャラクター制作時に知っておくとクオリティを上げることのできるノウハウに言い換えられると思います。
本書で解説している”秘訣”をまとめると、以下のような内容となっています。
口内、手足、目(虹彩も)、眉毛まつ毛、肌のテクスチャなどなど
Chapter02:髪の毛
髪の毛
Chapter03:服・アクセサリ
表紙のキャラクターの着ている色々な要素を含んだ衣服、ティアラ、眼鏡、チェーン、ベルト
Chapter04:テクスチャ
表紙キャラクターの着ている衣服の首回りの部分のみ。ここは15ページと情報量少な目。
Chapter05:クオリティアップ
顔のパーツの差異(かっこいい系とかわいい系の比較)、輪郭などディティールの確認項目
Chapter06:簡単なセットアップ
キャラクターにポーズを付けるための操作手順(ローポリでポーズを作ってハイポリへ反映させる手順)
Chapter07:ポージングとシミュレーション
衣服や髪の毛をポーズに合わせて動きを加えるコツ
Chapter08:仕上げ
ライトごとにレンダリングを分けて行い、最後に合成する操作手順
基本的には、表紙のキャラクターを制作する過程の要所要所を、解説しているような構成となっています。
特に「Chapter03:服・アクセサリ」の章では、袖服・ベルト・スカート・金属の装飾など、汎用性のある特徴を多く盛り込んだ衣服の制作方法を、解説しています。
これらのノウハウはどれも質の高いキャラクター制作を行う上で必要不可欠なものばかりのため、
これからセミリアルなキャラクターをつくりたい方にはぜひともオススメしたい一冊です!
ソフトウェアに縛られずに3DCGキャラクターの制作方法が学べる
本書のオススメポイント2つ目は、ソフトウェアに縛られずに、CGキャラクターの制作方法を学べるという点です。
前提として、本書では以下のようなツールを利用していました。
- Maya
- ZBrush
- Substance Painter
キャラクター制作の作業の多くは Mayaで作成し、キャラクターの外形や眼球の作成などのスカルプトが必要な工程でZBrushを利用していました。
テクスチャ作成とレンダリングに、Substance Painterを利用していました。
本書では、これらのソフトを利用しキャラクターを制作していますが、別のソフトの同様の機能を利用しても学べるような構成になっているため、ソフトウェアに縛られず、キャラクターをつくる上でクオリティをあげるためのポイントを重点的に学ぶことができます。
例えばフリーソフトのBlenderには、Maya・ZBrush・Substance Painterの代替となる機能が備わっているため、Blenderを利用して本書でキャラクターの作り方を学ぶことも可能です。
具体的には、キレイに見える輪郭の作り方や、瞳の虹彩テクスチャ、衣服の作り方などのポイントがありました。
ただし、本書に書かれているMayaの操作内容が、Blenderのどの操作に該当するかを知っておかないと都度都度調べる必要がでてきます。そのため、まずは本書の全体に目を通して、どんな機能を使っていくのかを調べた上で、本書を読み進めた方が、サクサク読み進められると思います。
完成モデルをダウンロードできる!
本書のオススメポイント1つ目は、表紙に用いられているCGモデルがダウンロード可能という点です。
完成データを見たり、真似たりすることで、モデリングの練習を効率よく進めることができるので、本書を手にした方は、素体データをダウンロードし、データを触ってみてください。
本書を一通り学んだあとは、オリジナルの服や、髪型をつくってみるとスキルアップを実感できると思います。
ダウンロード方法は書籍に記載があります。
ただし、ダウンロードデータは、本書の学習にのみ利用できるという制約があるため、参考データをそのまま商用モデルとして利用することはできないので注意してください。
まとめと読んでみた感想
以前私もフォトリアルなキャラクターをつくろうと試みたのですが、書籍として利用したのは、スカルプターのための美術解剖学のみで、主にネットの情報を頼りに制作していました。
スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版
これはこれで、人体の造形について細かく知ることができるためオススメなのですが、CGキャラクターをつくるための方法は載っていないので、これだけでは独学はきつかったです。
まず、CGキャラクターをつくるためのワークフローを覚えたい!、と考えている方にとっては、本書『CGキャラクター制作の秘訣』はかなり役立つと思います。
すべてを覚えるのは大変ですが、本書では要所要所をピックアップしてまとめてくれているので、どうやって作るのか忘れた際は、パパっと調べることができるのも魅力だと思います。
約202ページと、CG系の専門書の中では薄めの部類のため、持ち運びもしやすいですしね。
以上、『CGキャラクター制作の秘訣』の紹介でした。
中身が気になる方は、ぜひ一度確認してみてください!↓