『CGライティングの最強の教科書』を一通り読み終えたのでレビューしていきます。興味のある方、気になっている方の参考になれば幸いです。
私のライティングに関する知識は、ライト(光源)が複数種類を知っていて、光の強さを変えたりできる程度です。
そんな私が、この書籍で学べたことを3つ挙げるとしたら以下の通りです。
『CGライティングの最強の教科書』で私が学べたこと
・光の原理・仕組み
・CGでライティングする方法
・具体的なCGライティング手順
ライティングについては専門用語を少し知っている程度だったので、深く学ぶことができて満足です。
この記事では、3DCGに関するライティングの基礎的な話のあとに、『CGライティングの最強の教科書』を読んでみた感想を書いていきます。
どんな本なのか、何が書いてあるのかの参考になるよう書いていきます。
CG ライティングについて
CGライティングとは
ライティングの大まかな定義は以下の通り。
3DCGシーンを照らす様々な種類のライト(光源)を設定し、シーンの最終的な見映えを決める工程のこと。シーンの時間帯、季節、演出意図、レンダリングにかかる時間などを考慮し、適切なライティングを行うことが求められる。
ーCGWORLD Entry.jp 「ライティング」より抜粋(引用元)
3DCGの空間において、『光を扱うこと』を指します。そもそも光がないと写真や動画は全て真っ黒になってしまうため、ライティングは3DCGにおいて必要不可欠な工程です。
私自身少しだけライティングを意識していじってみただけで、3DCGの見た目が変わったのを覚えています。光の強さ、色を変えるだけでも印象が全然違ってくるので重要だと感じました。
CGライティングに必要なもの
CGのライティングに最低限必要なものは、3DCGソフトだけです。3DCG業界のプロ向けソフトのMayaから無料ソフトのBlenderまで、多くの3DCGソフトでライティングが可能です。
ゲームエンジンのUnityやUnrealEngineでも可能なので、ライティング機能は3DCGソフトであればほぼ全てに実装されていると思います(スカルプト専用ソフトZBrushにもあります)。
また、ライティングを必要とする多くの場面は、フォトリアルなアートの作成ではないでしょうか。フォトリアルにレンダリングするためには、それなりのPCスペックが要求されるのでフォトリアルなアートを作りたい方はPCのスペックを検討しておきましょう。以前2010年ぐらいに購入したノートPCでレンダリングしようとしたら処理が重くてできなかった経験があるので…
低価格で購入できるおすすめPCをまとめました。
ライティングについては以上になります。以降では、書籍『CGライティングの最強の教科書』についてのレビューです。
『CGライティングの最強の教科書』に書かれていること
一通り読み終えたのでレビューさせていただきます。記事の流れとしては、書かれていることの概要→学べること→良かった点と悪かった点の順に書いてます。
『CGライティングの最強の教科書』の概要
目次及び、各章の概要をまとめました。
目次 | 概要(書かれていること) |
光とライティングの重要性 | 映画の一場面を例に挙げつつ, ライティングの基礎的な知識 |
アートにおけるライティングの歴史 | 多様な絵画・写真・映画を例に, どのようなライティングがなされているか |
3D ライティング | 3DCGでライティングをする方法, 仕組み |
具体的な光源を再現する | ロウソクの火や人工照明をライティングを用いて再現するためのワークフロー |
PBRシステム | 被写体(3DCGのオブジェクト)に適用する物体的性質を決定するシステム(光の反射の仕方を操作できる) |
場所の再現とキャラクターライティング | 具体的な場面のライティング手順 |
様式化した照明をデザインする | ライティングと見た目, 印象の話 |
これに加えて、Mayaを使用したCase Study(実際にライティングしてみる章)が3章(約50ページ)あります。
一通り読んだ私の感想としては、書籍のタイトル通り、『ライティング』を学ぶことができるいい書籍でした。Case StudyにはMayaを使用しておりますが、他の3DCGソフトでもライティング機能には大差がないのでMaya使いでなくても問題ないかと(この書籍の著者も同じことを書いてます)。
『CGライティングの最強の教科書』から学べること
私がこの書籍を読んでみて学べることをまとめました。
- CGライティングの基礎的な知識
- 3DCG空間への光の配置方法
- ライティングの具体的な手順
私は3DCGで扱えるライトが複数あることを知っていました。例えばSun(太陽)ライトやPlane(平面)ライト、円錐形のライトも。しかし、それらの違いがよくわからないまま適当に配置して扱っていました。
この書籍を読んだことで、各ライトの違いを理解してどんな手順で配置すればいいのか知ることができました。
正直フォトリアルなアートをつくるためにはマテリアルをいじりさえすればいいと考えていたので、ライティングを軽視していました。『ライティングは重要』←これを学べただけでこの書籍を読んでみてよかった。
『CGライティングの最強の教科書』の良かった点と悪かった点
個人的に『CGライティングの最強の教科書』を読んでみて良かった点と悪かった点を3つずつ挙げました。
ライティングの知識のない者が書いたので多少の偏見があることをご理解いただきたい。
まず初めによかった点を3つ挙げます。
・ライティングについて深く学べる
・説明に画像を多く用いているため理解度が高い
・使用ソフトに関係なく利用できる
ライティングについて書かれた書籍はそもそも数が少なく、情報が乏しいです。
この書籍はそんな数少ない中の1冊なのでライティングについて学びたい方にはおすすめです。
絵画などの芸術作品を例に挙げ、それに用いられているライティングについて説明がされています。画像が多いので具体的な作例をイメージできます。また、Maya使いでなくても利用できるのでライティングそのものについて学びたい人ならだれでも読めるよう書かれており初心者にもおすすめです。
次に悪かった点を3つ挙げます。
・タイトル通り教科書
・参考例が全体的に古い
・翻訳書のため読みにくい
タイトル通り教科書・・・
書籍の構成が良くも悪くも、学校の教科書のようです。
文字数が多いため活字を読むのが苦手な方は読み飽きてしまうかもしれません。
参考例が全体的に古い・・・
ライティングの説明に用いられている参考例が全体的に古いです。
この書籍の著者は有名なアニメーション業界のベテランの方なので、説明に最も適した参考例を挙げてるのだと思いますが、アートを知らない私的には共感しづらい面もありました。
ハリウッドで用いられているライティングや、今風のセルルックの内容もあればいいのにと感じました。
翻訳書のため読みにくい・・・
これも個人的な印象なのですが、英語→日本語へ訳した書籍のため読みにくいと感じました。
そもそも、この書籍はザっと通しで1回読んで終わりというものではなく、作品をライティングしたい都度に参考書として扱うべきでしょう。
必要なときに役立つ書籍なので手元においておくとライティングしたいとき便利です。
と、後半は悪かった点の説明で終わってしまいましたが、この書籍に書かれている内容はCGを扱う人にとってはとても価値ある情報です。
自分でちゃんと基礎からライティングを学びたい!、そんな意思のある方におすすめなので、該当すると思った方はぜひ購入を検討してみて下さい。
以上が『CGライティングの最強の教科書』のレビューになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。